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  体温の調節   
 

爬虫類などは体温の変動が著しくて、体温が低下したときには活動が鈍ってきて、

冬季には冬眠するのが知られております。

人間は哺乳類の一種ですので、体温はほぼ一定(37±1℃)に保たれております。

それでは、どうして体温が一定に保たれるのでしょうか?

1,体温の産正と放熱

一定の体温を保つには作り出された熱と放出された熱などが均衡である必要があります。

では、それぞれの熱はどこからでてきて、何処へ消失していくのでしょうか?

☆熱の産生

人間の作り出す熱は代謝の盛んな臓器によって多く産生されます。

骨格筋   59%

呼吸筋    9%

肝臓    22%

心臓     4%

腎臓     4%

その他    2%

人は安静時体重1kgあたり1時間に約1Kcalの熱を産生するといわれております(基礎代謝)。
  
この熱は食事などを摂取することによって得られます。

それは、これら栄養分(糖・蛋白質・脂肪)が代謝されてエネルギーが発生することによります。

このエネルギーは機械的・電気的・科学的エネルギーに約30%ほどが使われますが、

残りは熱として放散されます。

この熱は骨格筋によってもっとも多く産生されます。

そして、骨格筋からの熱は筋肉運動をすることによって、著明に増加します。

激しい運動や重労働のときには安静時の約10倍以上の熱を産生します。

また、寒さでふるえがきたときや、筋肉が緊張したときにも熱を産生します。

この「ふるえ」は骨格筋の不随意運動が起きたためで、これによって熱産生が増加します。

また、栄養分は腸で吸収されて、門脈を介して肝臓に運ばれて化学的代謝によって

分解されます。このときにも熱が産生されます。

また、甲状腺ホルモン・女性ホルモン・アドレナリンなどにも代謝を亢進して熱の産生を

促す作用があります。
 

☆熱の放散

熱の放散は外界の温度と身に纏っている着衣によって左右されます。

体温よりも外界の温度が低い場合には熱の放射や伝導・対流がおきて熱が逃げていきます。

 熱の放射:体表面からの赤外線の放射によって熱が出されます。

 熱の伝導:直接触れたものを介して熱が出ていきます。
       
 熱の対流:体表面で暖まった空気は上昇していって、対流が生じます。
 
 

また、体表面からは水分が蒸発していくときにも、熱が逃げていきます。

皮膚や粘膜からは常に水分が蒸発しております。これを不感蒸散といいます。

皮膚からは毎日600−700ml、肺からは150-450ml位の水分が出ております。

また、温度が上昇してくると、汗腺からの発汗が著明になってきます。

 

2,体温の調節

体温の調節はどの様に行われるのでしょうか?

☆温度受容器

温熱を感じる受容器には二つあります。

 い,皮膚の温度受容器

    皮膚にある暑さ寒さを感じる受容器です。

    体の表面の温熱を感じて温熱中枢に伝えます。

    そして、この温熱は大脳皮質にも連絡されるため、暑さ寒さとして認識されます。

 ろ、深部の温度受容器

    体温を感知する受容器を深部の温度受容器といいます。

    これは温度感受性ニューロン(温ニューロン)が体温の上昇低下を感知して、
    
    それを温熱中枢に伝えます。

    この温ニューロンは前視床下部・脳幹・脊髄などにあります。

☆温熱中枢(体温調節中枢)

 体温調節中枢は視床下部の後領域にあるといわれております。

 これ自体には温寒を感じないのですが、受容器からの情報を集めて、

 適切な命令(制御信号)を効果器に送ります。

☆効果器

体温調節中枢からはどんな経路で命令が伝えられるのでしょうか?

 い、自律神経系

    a)交感神経系

       β受容体ーーーふるえのおこらない産熱をおこないます。

                 褐色脂肪組織に働いて、脂肪の分解を促進します。

                 グリコーゲンを分解して糖の新生を促します。

       α受容体ーーー血管運動機構に作用して熱の遮断をおこないます。

                 皮膚・粘膜・静脈などの血管収縮をおこないます。

    b)副交感神経系 

       アセチルコリンを伝達物質として効果器に作用します。

       末梢の血管を拡張して発汗を促すとされております(まだ不明ですが?)。

 ろ、体性運動神経系

    骨格筋に作用して「ふるえ」を起して、熱を産生します。

    体を動かして、熱を産生するような行動をとります。

  は、ホルモン系

    ホルモン系は体熱の産生を促進します。

    視床下部下垂体系が働いて、下垂体前葉から甲状腺刺激ホルモン(TSH)や
   
    副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が出て、甲状腺ホルモンと副腎皮質ホルモン

    の分泌を増やすことによって代謝を亢進させ、産熱に働きます。
 
 

3,体温の生理的変動

人の体温は正確に計ることは外界の影響などがあって、なかなか難しいようです。

一番正確なのは直腸温で、大体37.5℃です。

普段計られている腋か温は36.4℃前後になっております。

では、体温に影響を与えるものにはどんなものがあるのでしょうか?

 い、男女差

    体温は女性の方がやや高いようです。

    女性は月経の周期によって、体温の変動があります。

 ろ、年齢差

    小児の方が成人よりもやや高いようです。

    16歳ころになると成人型になって一定になります。

 は、日差

    体温は朝6−7時頃が一番低くて、午後の3−4時ころに一番高くなります。

 に、食事

    人は食事を摂ることによって熱が産生されます。

 ほ、運動

    筋肉運動を行うと、熱量の産生は著明に亢進します。

    あまり亢進しすぎると、熱中症を引き起こす怖れがあります。

 へ、精神的興奮

    精神的に興奮すると筋が緊張したり、アドレナリンが分泌したりして、

    熱が産生されます。

 と、季節

    体温は一般的に冬に低くて、夏に高くなります。
 

4,高体温

体温は運動または精神的興奮などで、上昇します。

激しい運動をすると直腸温で40℃に達することもあります。

感染などで発熱する場合がありますが、これは細菌の毒素や組織蛋白の

異常分解産物などの発熱物質によります。

体温が44−45℃に上昇すると、酵素などが変性して死亡します。
 

5,低体温

海などに落ちて、時間がたつと低体温になります。

体温が33℃以下になると意識がなくなります。

そして、体温が26−28℃になると心筋細動が起きます。

しかし、からだの細胞は低体温に良く耐えますので、全身麻酔下での

心臓の手術などがよく行われます。


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