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恙虫病は有毒ツツガムシの幼虫に刺されることによって起こるリケッチアに似た
病原菌の感染症のことをいいます。
「恙虫病病原体」(Orientia tsutsugamushi)が恙虫によって媒介されて発症します。
恙虫病は1940年代以降の発生は少なくなりましたが、1980年代から新型恙虫病
となってからは年間500−1000例の感染が報告されるようになってきました。
恙虫はクモ形網ダニ目ツツガムシ科に所属します。成虫で体長は約1mmくらいです。
世界には約2000種が分布しておりますが、日本には約100種くらい棲息すると
言われております。
生活史は卵ー幼虫ー若虫ー成虫となっております。
恙虫の幼虫は野鼠に寄生することが知られております。
この有毒幼虫が人に寄生したときに恙虫病が起こされます。
恙虫病は恙虫の幼虫に刺されることによって発症しますが、本邦においてはその形態
が二つに分かれております。
1)、古典的恙虫病
古くから知られてきたもので、河川敷でかかる恙虫病をいいます。
夏型恙虫病(6−10月)とも言われております。死亡率は高いです。
恙虫のうちアカツツガムシの幼虫(写真参照)が媒体となります。

河川敷では信濃川・阿賀野川・最上川・雄物川などが報告されております。
2)新型恙虫病
戦後各地の草原・丘陵・人家の近くで知られるようになった恙虫によって引き
起こされる恙虫病のことをいいます。
恙虫のうち、フトゲツツガムシ・タテツツガムシ(写真参照)・トサツツガムシなどが
媒体となります。一般に夏以外の季節に発症しますが、比較的軽症です。

潜伏期は6−19日です(10−14日が多い)。
有毒ツツガムシに刺されると刺された部分が腫れて丘疹ができて、
それが膿疱・潰瘍へと進展していきます。(写真参照)
そして、潰瘍の表面は黒色痂皮となりその周辺は発赤を呈します。

基本的には内皮細胞の傷害を伴う播種性巣状血管周囲炎といいます(今日の内科学)。
刺し口から恙虫病菌(短桿状菌)がリンパや血中に入っていって感染します。
(恙虫病は最近ではリケッチアには入らないといわれております。)
潜伏期が経過すると発症は急激におこります。
悪寒戦慄・頭痛で始まり、高熱・結膜充血が認められます。
全身倦怠感ガ強く、関節痛・筋肉痛・手足のしびれ感を認めることもあります。
2−3日、原因不明の熱が続いた後に体に2-3mmから5-6mm位の紅斑がでてきます。
紅斑は紅色丘疹となっておもに体幹部にでます(写真参照)。
発疹は互いに癒合はしません。
刺し口がわかれば診断は容易になります。
そして、刺し口の中心寄りの所属リンパ節が腫れてきます。
多くの例に肝臓・脾臓の腫脹が認められます。

14日病日後頃には発疹が消えて、解熱して治癒します。
重症になるとDIC(播種性血管内凝固症候群)が起こることがあります。
リケッチアの分離
血清学的検査
IP(間接免疫ペルオキシダーゼ法)
IFA(間接免疫蛍光抗体法)
テトラサイクリン系抗生物質が良く効きます。
テトラサイクリン系抗生物質
クロラムフェニコール
リファンピシン
このうち特にミノサイクリンが著効を示します。
ミノサイクリン(200-300mg/日)
高熱・刺し口・発疹が三徴候ですので、診断がついたら早期にテトラサイクリンの
投与が必要になります。原因不明の熱と発疹があった場合でも、当症を疑って
テトラサイクリンの投与が好ましいとされております。
マダニを媒介するリケッチアによる日本紅斑熱という病気もありますが、
これも恙虫病と似たような経過をたどります。
この日本紅斑熱の場合でもテトラサイクリンによる治療が良く効果をあげます。
治療開始が遅れて重症化するとDICを引き起こして、死亡する場合もあります。
また、この恙虫病は人から人へと伝染はしないようです。
ツツガムシ(マダニも)は人の炭酸ガスを感知して上着などに乗り移るといわ
れております。乗り移ったツツガムシ(マダニも)は衣服を徘徊して下着に入り
込んで、適当な場所に寄生して皮膚を刺します。
ですから、ツツガムシ(マダニも)の棲息地帯に行ったときにはそれらを防御する
ことによって恙虫病の発症を予防しなくてはなりません。
それには次の点に注意が必要です。
体の皮膚を露出しないことが肝要です。
手首・足首をしっかりと塞ぐようにします。
下着は目の細い上下一枚に繋がったもの(つなぎ)を着用します。
帰ってきたら着替えをして、帽子・着衣を強く払い落とします。
すぐに入浴して洗髪をおこないます。
防虫スプレーを使用します。(ジエチルトルアミド剤)